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  • 執筆者の写真田中悠美子

音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』顛末

更新日:2020年4月13日


2020年1月25日のリハーサルから

ライブバンドのメンバーとして、

また、人形浄瑠璃の挿入シーンの作曲者として

かかわっていた

祝祭音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」。



江戸末期の人気講談『天保水滸伝』の世界に、

シェイクスピア戯曲全37作品を

ないまぜに織り込んだ

3時間35分の壮大な任侠劇です。





井上ひさし作、宮川彬良音楽、藤田俊太郎演出、 高橋一生、浦井健治ほかの豪華キャストで、

2月8日に日生劇場で無事初日が開けましたが、



政府の感染症対策基本方針により

2月27日にて公演中止となり、

28日・29日の東京公演および

3月5日から10日まで行われる予定だった

大阪公演もキャンセルになりました。



登場人物が次々に死んでいく

悲惨で猥雑な内容なのに、

彬良さんの音楽がキャッチーで素晴らしくて、

メンバーの奏でる音と、

バンマス兼ピアニストの彬良さんの

「踊る指揮」に癒されまくり!




隔日でマチネ・マチソワ公演という

超ハードな公演スケジュールなので、

体力に自信がない私は

日本音楽集団時代の後輩・山崎千鶴子さんと

シフトを組んで、

ソワレのみの参加とさせてもらいました。




いまどきのミュージカル界のレベルは

飛躍的に進化していて、

キャストの歌唱力は粒揃い。

日本語が聞き取りにくいオペラとは違い、

日本語もよく聞き取れるし(しかも字幕ついてる)

ダンスも演技もみなさんすばらしい!



主役の一生さん、

俳優さんとして評価が高いですが、

歌もうまかったW(`0`)W


ミュージカルファンのお客様は層が厚く、

チケットは連日ソルドアウト。



そんなレベルの高い公演ゆえ、

高橋一生ファンを中心に

連日twitterでお客さまの賛辞の声が

引きも切らず、

各媒体のレビューも大好評!!!



だったのに、、、



28日には、お客様ナシで

DVD収録が行われました。





リアルタイムのレスポンスがない

状況ではありましたが、

キャストもバンドもスタッフも、

見えないお客様、そして自分自身のために

全力を尽くしました。



まるで天に向けて芸能の捧げ物をしたような感覚でした。





収録のためのパフォーマンス〜集合写真撮影と

全ての行程が終わったあと、

主役の高橋一生さんの周りに人が集まって、

みな握手やハグしてもらっていたので、

私も吸い寄せられるように順番待ち。


自分の番になったらなんだかドキドキして、

握手してもらおうと手を差し出したら、

向こうからハグしてくれました。

愛に満ちた妖精みたいなほんわかオーラで、

イセクラさん(一生さんのコアなファン)たちが

ツイートしていたとおり、

白檀みたいないい香りがしました。



お稽古場でお喋りしていて、

気がつくとお隣に静かに佇んでおられたり、



エレベーター前で何度かバッタリ鉢合わせして、

慌てて挨拶したりたなあ。

浄瑠璃シーン用の小さなモニターで 全景を観ることしかできませんでしたが、 一生さんの歌は常に安定し、 セリフや演技は常にアップデートされていました。 特に最後の屋根落ちの場面は、 DVD収録まで変化し続けていました。 イセクラさんたちの「一生愛」が理解できた気がしました。 バンドメンバーが撤収で殆ど出払った後、 演出の藤田俊太郎さんと、 ヴォーカルデザイン・音楽監督補の福井小百合さんが 楽屋に来てくれました。 蜷川幸雄の下で研鑽を積んだ藤田さんは、 キャストのみならず、バンドメンバー、スタッフさんまで、 細かい気配りをしてくれる好青年。 彼の演出は、井上戯曲の混沌とした「ないまぜ」世界の「澱」を いい具合に取り除きながら、 整然とした構築美を加え、 しかも「怒り」というテーマをしっかり打ち出して、 「汚くて美しい」美学をお客様に提示することに 成功していました。 一生さんのキャラクター作りと、 宮川曲のマジックが、それを可能にしたと強く感じます。 宮川彬良さんの楽曲群は、 欲望に満ちた人間の愚かさ、悲しみ、滑稽を描いた エログロ満載な物語に、 懐かしくもほっとするキャッチーなメロディーとリズム、

和洋のバランスが取れたハイセンスなスコアで 救いを与えました。

日々の長時間のステージで

どんなに疲れていても、 楽曲が始まるとスイッチが入ったように 元気になれたものです。 クラシックからジャズ、ロック、ポップスまで、 数多の引き出しから繰り出される音楽知と

バンド指揮者としての指導力も立派でした。



最強のスコアを

最強のバンド(彬良さんツイッター言)が演奏したのですから、

どの劇評も、

お芝居のみならず音楽も高く評価していました。


小百合さんも、キャストからの信頼感ハンパなく、

歌声の素晴らしさは元より、作曲、指揮もされる才媛。



様々な才能の煌めきに触れることができて、

ほんとに幸せでした。


キャストさんたちの粒揃いの歌唱力も特筆すべきで、

メインキャストはもとより、

アンサンブルの強力さといったら、

毎回オープニングの「もしもシェイクスピアがいなかったら」

を聴くたびに鳥肌が立ち、涙が、、


全身全霊でカラダ張って歌って踊って喋って演技して、、



まさに輝かしい生命力の発露!


キャストさんたちは、連日の公演に

疲れなど一切感じさせません。

しかも、主役以外は一人で早替わりして

何役もこなす重労働。。

すごいエネルギーです。


脇を固めるベテラン俳優さんたち、

上は70歳(木場勝己さん)というのに、

みな1か月間同じテンションで演じるているのですから、

驚くべきことです。


観劇後の感想をつぶやくツイッターを読んで

わかったのですが、

一度のみならず何度も観劇するお客様が

たくさんいるんですね。



みなさん、推しだけでなく

すべてのキャストさんたちが

ライトを浴びてキラキラ光り輝く姿を

目に耳に心に焼き付けて、

エネルギーを充電して明日への糧にしているのです。



ミュージカルというものが

これだけ人気なのもうなずけます。 私も、聴いてくれる人が元気になるような

パフォーマンスをしたいな💛




 『天保十二年のシェイクスピア』初日バンドメンバー!宮川彬良、角田 順、吉田 さとる、一本茂樹、勘座光(Ko Kanza)、石田 愼、川瀬 正人、高桑英世、田中悠美子
『天保十二年のシェイクスピア』初日バンドメンバー

ショウほど素敵なものはない


30年も前の1989年に、

新橋演舞場で「スーパー時代劇ミュージカル 天下御免」に

義太夫三味線作曲&演奏で、


1992年には、

劇団四季のミュージカル「九郎衛門」のバンドメンバーとして

参加しましたが、


あの頃が懐かしく思い出されます。


2003年、小椋佳が主宰した

日本の伝統歌唱者たちによるミュージカルにも

参加したなあ、、、

まるで昨日のことのような、、、


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